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静岡の介護・みなサポ | 地域介護力・日本一都市(静岡市) 静岡・介護文化を育てる会 -オフィシャルサイト-

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 見学リポート 特別養護老人ホーム「高麓」(こうろく)

焼津市坂本にある社会福祉法人東益津福祉会 特別養護老人ホーム「高麓」は、
地域の介護ニーズの高まりを受け1997年に開設されました。
本館は、従来型の4人部屋と個室:定員50名、ショートステイ:定員20名の収容が可能な施設です。
新館は、ユニット型個室:定員50名、ユニット型ショートステイ:定員10名の施設です。
デイサービスセンター:定員60名、他訪問介護ステーション・居宅介護支援事業所が併設されています。
また近くにある認知症対応型デイサービス「きすみれ」も運営しています。

〒425-0004
静岡県焼津市坂本385番地の1
TEL.054-628-0070(代表)
FAX.054-620-3355
JR焼津駅から静鉄バス乗車、「坂本」降車徒歩1分



場所は、東名の焼津インター東側、静岡駅から30分程度です。
当日は、出発先が静岡市駿河区東新田でしたので、20分程度で到着しました。

ご案内いただいたのは、特別養護老人ホーム高麓の和田施設長。
まずはお伺いの主旨(静岡の介護「みなサポ」活動)をお話しし、ご理解をいただきました。
その後、この施設のことをご説明・ご案内いただきました。


 特別養護老人ホーム「高麓」(こうろく)

この施設の大きな特徴としては、従来型多床室と従来型個室、そしてユニット型個室があるという点です。
ご利用者の都合に合わせて選択することができます。
従来型居室では、生活保護の方も受け入れることが可能となります。

本館従来型の印象としては、ご利用者の表情が明るく、特別養護老人ホームにしてはスタッフの人数が多いのではと感じられました。
そのせいかスタッフが業務に追われて、ご利用者へのサポートができないという感じは受けませんでした。

和田施設長に伺ったところ、介護職員は規定より多い人数を配置しているとのことでした。

別館のユニット型個室
(ユニット型個室とは、おおむね10人以下を1グループの生活単位(ユニット)としたケア体制での介護保険施設で、台所・食堂・リビング等の共同生活ルームを囲むように配置された個室)には、各ユニットごと共有スペースがあります。
その共有スペースでのんびりテレビを見ている方。
またお部屋でのんびり過ごされている方、ベッドで横になっている方などを見かけました。

見学時間がお昼前でしたので、ご利用者がのんびり過ごす時間にあたったせいかもしれません。

入浴は従来型もユニット型も現在大風呂は利用していないとの事です。
「流れ作業のような入浴はさせない」ための配慮だと話されていました。

入所についてお聞きしたところ、特別養護老人ホーム「高麓」では2ヶ月に1度「優先入所委員会」での入所判定を行なっているとのことでした。
期間を短くすることにより、本当に入所が必要な方が、比較的早い時期での入所が可能になると思われます。
参考までに静岡県の優先入所指針では、6ヶ月に1回以上となっています。



 高麓デイサービスステーション

高麓のデイサービスは、定員60名の一般的な1日型の大規模デイサービスです。
ここの特徴は、なんと言っても「自己選択・自己決定型デイサービス」というスタイルです。
今回の静岡の介護「みなサポ」の
見学目的は、この「自己選択・自己決定型」と「ダラー」という取り組みです。

ご利用者は施設に来ると、そのまま土足で施設内に入ります。
自分で荷物掛けから自分用のビニール制バッグ(中には通帳とお金らしきもの)を持ち
そして
自分で専用のロッカーに荷物を入れ、デイフロアに向かいます。

デイフロアに入るとすぐに、200種類以上の活動メニューカードが並んでいます。
その中から今日1日の過ごし方を決めるカードを選びます。
「自分で選んで自分で決める」、これが「自己選択自己決定型デイサービス」なのですね。
「何もしない」という選択肢もありました。

ここまでは、他のデイサービスでもメニューの多い少ないはありますが、これに近いことはやっているところがあるようです。


さぁ、ここからがとても面白いのです(o^∇^o)ノ

高麓のデイサービスの特徴である「ダラー」について、ご紹介します。
「ダラー」とは、施設内通貨のことです。
様々な活動に参加すると、この「ダラー」をもらえるのです。
この「ダラー」を貯めて、「喫茶こうろく」でコーヒーを飲んだり、チャリティーショップで買い物したり、マッサージも受けることができます。

「ダラー」を稼ぐのも、使うのにも、金額が設定されています。

◎ダラーを稼ぐ(例)
フロア1周歩行訓練 100ダラー 
時間前に活動場所へ行く 300ダラー
血圧を自分で測る 500ダラー
手の消毒をする 100ダラー
ぬり絵集を一冊やる 3,000ダラー
作品をこうろくショップで売る

◎シャイン(デイでのお仕事)活動で稼ぐ(例)
アイロンかけ 5,000ダラー
コップ洗い 4,000ダラー
えんぴつ削り 3,000ダラー
広告箱づくり 2,000ダラー
花の水やり 2,000ダラー
新聞折り 2,000ダラー
               ※シャインの給料は月給制です。
◎ダラーを使う(例)
活動参加費 100ダラー
マッサージ1回施術料 3,000ダラー
コーヒー1回参加料 500ダラー
脳トレ1冊持っていく 100ダラー
こうろくショップで買い物
施設外機能訓練参加権

このような形で「ダラー」を使うことで頭のリハビリにつながっています。
この「ダラー」は施設内の銀行に預けることができます。

ご利用者の通帳には、きっと多くの「ダラー」預金されている方がいることでしょう(o^∇^o)ノ




  親切にご案内・ご説明、また色々な資料もいただき有難うございました。

最後に見学をしていて私が感じたことを記します。

社会福祉法人東益津福祉会「高麓」という施設は、
特別養護老人ホームもデイサービスも介護への新しい取り組みを積極的に行なっている施設でした。
現状に満足せず、常にご利用者が
「最期まで自分らしく生きる」ための支援ができるのかを考え、実践しています。
特にデイサービスの取り組みは、色々説明を聞いているだけでも、とても楽しそうで、「ダラー」という紙幣も預金通帳も本物と同じように印刷されていて、
ご利用者の尊厳に対しての配慮をしているのだと感じました

「シャイン」というデイサービスでのお仕事活動は、お年寄りにとって、
自分が必要とされているという、そんな気持ちにもさせてくれるのではないでしょうか。
やる気を起こし、それは「生きがいにもつながる」ことだと思いました。