A:認知症の人の失禁は、さまざまな原因で起こります。原因を理解しながら、それに適した工夫をしましょう。排泄は重要な日常行為です。認知症の人の排泄では、できないことを補って失敗を少なくするようにしましょう。排泄は(尿や大便)人が生きていくうえで重要な行為です。
便秘や下痢が続いても困ります。普通に排泄があっても、認知症の人は失敗が多くなり、介護負担を増やす原因となります。
排泄は子供の頃からのしつけと習慣で覚えているものですが、高齢になると身体機能が衰え(膝が痛くて歩きづらい、腹筋が弱って尿意や便意を我慢できないなど)によって、トイレに行くまでに漏らしてしまうことがあります。単に身体機能が落ちているだけなら、ポータブルトイレをベッド横に置くなどすれば失敗は減るかもしれませんが、判断力の低下している認知症の方は、ポータブルトイレの使い方が理解できず、期待する結果が得られないことがあります。むしろ介護の負担が増えるだけかもしれません。
認知症によって排泄する場所がわからなくなり、失敗するケースが多くなってきます。
認知症が軽いときは、時々下着を汚す程度で、大きな失敗はありません。
しかし、認知症が進んでくると、トイレの場所を探しているうちに間に合わなくなり、便失禁につながってしまいます。特に便が柔らかかったりすると、部屋や廊下を汚すことが増えます。
さらに認知症が進むと、排泄のこと自体がほとんどわからなくなります。
また、自分で処理をしようとして壁や服を汚してしまうことがあります。
家族にしてみれば汚れをきれいに落とさなければならず、精神的にも、肉体的にも負担がかかってしまい、疲弊してしまいます。
このように、認知症の進行によって、少しずつ失敗が増えますが、認知症が軽いからといって、練習や学習によって認知症がもとに戻ることはありません。
そのため、認知症の人ができること、できないことを見分けながら、できないことを手伝うようにしましょう。
トイレが上手く使えない場合は、トイレのドアを少し開けたままにします。
完全に閉めないほうがよいでしょう。
ドアを開けたまま排泄するのは、本人にとっても外にいる人にとっても抵抗があるかもしれませんが、閉めてしまうと内側から開けられなくなることもあるからです。
また、トイレの場所がわからず、探しているうちに漏れてしまう場合があります。
認知症の人の部屋をトイレの近くに移すのも良いでしょう。
トイレのドアに「トイレ」と書いた紙を張っておくのも効果的です。
認知症の人は特に水洗トイレの使い方がわかりにくくなり、排泄が終わっても流さないだけでなく、残った大便を始末しようとして、触ってしまったりします。
汲み取式のトイレを使っていた記憶だけが残っており排泄した便が残っていると、気になって何とか処理しようと便器の中を手でかき回すこともあります。
便の性状を確認することも大切です。認知症が進むと排便のコントロールが出来にくくなります。下着の中に大便を排泄したまま行動することがあります。これは認知機能低下のために便意をもよおしてもどのようにトイレへ行って排泄すればよいかわからず起こります。
便失禁は下痢のとき多いようです。下痢は体力の低下にもつながりますので、
予防や早期治療が大切です。下痢が起こったときは下痢止めの薬が効果的です。
下痢による脱水症状にならないように水分を多めに飲んでいただきます。
早めに医師に相談してください。
失禁をしてしまったときは、騒いだり叱ったりせずに、すぐに始末をしましょう。
速やかに汚れを拭いて肌を清潔にし、ただれなどが起こらないようにしましょう。
時間を決めてトイレに誘いましょう。特に食後トイレに誘ってみましょう。
胃結腸反射が活動し便意をもよおします。決まった時間に排便をする習慣をつけましょう。
腹部の「のの字」マッサージも効果的です。のの字を描くように両手の指(中指、薬指、人差し指)6本で腹部を軽く圧迫していきます。
皆さんも1度やってみてください。腸がよく動く様子が確認できますよ!
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