□A:認知症には介護の環境やケアと治療が認知症の三要素です。1つでも欠けると、本人はできなくなった自分に混乱し、努力が始まってきます。混乱した状態をBPSD(精神運動興奮)といいます。認知症を正しく理解し適切に対応すれば、ご本人も家族も明るく穏やかに暮らすことができます。
【「単なる物忘れ」と「認知症」はどうちがう?】
歳をとると誰でも忘れっぽくなりますが、例えば食べたメニューを思い出させないことはしょっちゅう私はあります。特に、2日前3日前の昼食や夕食などのメニューはよけい思い出せません。これは単なる物忘れです。意識して食事のメニューを覚えると忘れなくなります。しかし、食べたこと自体忘れてしまい食事の要求を何回もするようになると認知症の疑いがあります。
【「認知症」って、どんな病気?】
認知症とは、「脳や身体の病気が原因で、記憶・判断力などの障害がおこり、普通の社会生活が困難になる状態」をいいますが、いくつかのタイプがあります。
◎アルツハイマー型認知症
脳の神経細胞にアミロイドベーターというたんぱく質が細胞に沈着することで脳の神経細胞が減って脳が萎縮してしまい、症状が出るタイプ
◎脳血管性認知症
脳の血管が詰まったり破れたりして、その部分の脳の働きが悪くなるために症状が出るタイプ
◎アルツハイマー型認知症+脳血管性認知症
どちらか先に発症し合併してしまうタイプ
◎その他の認知症
レビー小体型認知症(大脳皮質にレビー小体がたまってしまう)、前頭側頭葉型認知症(ピック病)前頭葉と側頭葉の血流が障害されて症状が出現)アルコール性の認知症など。なお脳腫瘍やビタミン不足などによる病気で認知症の症状がみられることがあります。この場合原因となる病気を治療すれば、治る、あるいは症状が軽くなることがあります。これらを見分けるためにも、早めにかかりつけ医に相談したり、かかりつけ医から専門医に紹介状を書いてもらうことをお奨めします。
アルツハイマー型認知症は、早めに適切な対応をすれば、認知症の進行が緩やかになることがあります。早期発見、早期治療が最も大切なのです。認知症の進行を緩やかにすることができるお薬・アリセプトがあります。アルツハイマー型認知症の薬は病気の進行の程度によっての飲む量が違うので、軽い吐き気や食欲不振、便が柔らかくなる、活発になりすぎるなどの症状がみられたり、いつもと違う状態が続く場合は、主治医に相談してください。いま、メマンチン、レミニール、リバスタッチ(貼り薬)等の新薬も処方されるようになってきました。
【ワンポイントアドバイス】
より良い介護で適切な治療・ケアを行うと
・表情が良くなり、挨拶も出きるようになる。
・意欲が見られるようになる。
・落ち着いてくる。
言ったことや聞いたことを覚えていないので何度も同じことを言いますが、初めて聞いたように対応するといいですよ。食べたことを忘れるようなら、お茶でも飲んで待っててね、とか少量のおやつを出すとか小盛りにしておかわりに応じるなど工夫してみましょう。また、間違った行動を否定したり怒ったりすると嫌な感情だけが残り言ったその人が嫌いになります。否定文句は禁句です。一度にいろいろなことが同時にすることができません。本人が出きるようにアイディアやヒントを出し、自分で出きるように支援してあげましょう。そうすることによって、できなくなった自分に自信がついて穏やかになってきます。
教えて ホーム長 Q&A | ||
項 目 別 |
症 状 | 食事に関するお悩み……………………………………………Q07・Q19・Q54・Q68 排泄に関するお悩み……………………………………………Q12・Q27・Q31・Q76・Q79 物忘れ(妄想)に関するお悩み………………………………Q06・Q08・Q11・Q23・Q67・Q74 同じ事を聞く(独語)に関するお悩み………………………Q04・Q35・Q40・Q74 暴言・暴力・破壊に関するお悩み……………………………Q10・Q34・Q53 生活(着替え・歯磨き )に関するお悩み………………………Q20・Q46 コミュニケーションに関するお悩み…………………………Q21・Q55・Q71 収集癖に関するお悩み…………………………………………Q30・Q32 車の運転に関するお悩み………………………………………Q05・Q80 入浴に関するお悩み……………………………………………Q13 睡眠に関するお悩み……………………………………………Q18 徘徊に関するお悩み……………………………………………Q49 落ち着きがない…………………………………………………Q43 火の始末に関するお悩み………………………………………Q56 |
介 護 | 家族の気持ちに関するお悩み…………………………………Q01・Q09・Q47 遠方の介護に関するお悩み……………………………………Q02 仕事と介護に関するお悩み……………………………………Q03・Q36・Q54 介護の方法等に関するお悩み…………………………………Q14・Q25・Q28・Q65 認知症という病気(種類)について…………………………Q15・Q22・Q37・Q44・Q52・Q77 予防(早期発見)について……………………………………Q26・Q78 専門医(検査)について………………………………………Q24・Q42・Q45・Q72・Q73 手続き・連絡に関して…………………………………………Q29・Q39・Q51 施設について……………………………………………………Q41・Q61 相談する場所について…………………………………………Q16 |
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その他 | 本人へ伝える……………………………………………………Q48 アルコール………………………………………………………Q57 性的なお悩み……………………………………………………Q58 受診を拒む………………………………………………………Q59 薬を飲まない……………………………………………………Q64 感染症……………………………………………………………Q70 |